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渡邉 憲夫
第35回原子動力研究会年会報告書, p.42 - 49, 1998/00
国際原子力機関(IAEA)では、原子力発電所における事故の発生防止を目的とし、ASSET(Analysis and Screening of Safety Events Team)による事例分析を通して教訓の導出並びに改善策の勧告等を行っている。ASSETによる基本的な活動は、事象報告書等の文書情報やプラント設置者との質疑応答に基づく広範な事例のレビューと重要事例の分析であり、これは、根本原因分析方法(ASSET手法)に従って行われる。ASSET手法は、各事例に対して、安全上重要な機器故障や運転員エラー等の不具合を同定し、その直接的な原因や、背後にある根本原因を明かにして、改善策の提案・勧告を行うというものである。本報告では、ASSET活動の概要と現状、及び、そこで用いられている事例分析方法(根本原因分析手法:ASSET手法と呼ぶ)の具体的な手順について紹介する。また、「もんじゅ事例」への適用を通して、ASSET手法における問題点や改良すべき点等についても言及する。
渡邉 憲夫; 平野 雅司
JAERI-Tech 97-036, 43 Pages, 1997/08
IAEAのASSET手法(根本原因分析手法)は、各事例に対して、安全上重要な機器故障や操作エラー等の不具合及びその直接/根本原因を明らかにし、改善策を検討するというものである。本報では、「もんじゅ」ナトリウム火災事象に関する公開情報を基に、不具合とその直接/根本原因及び改善策を系統的に整理・分析することを目的とし、ASSET手法を同事象に適用した。その結果、同事象に対し7つの不具合(温度計さや管の破損、原子炉トリップ操作の遅れ、漏えい連続監視の不徹底、漏えい規模の誤判断、不要な操作(タービントリップ)の実行、ドレン操作の遅れ、空調停止操作の遅れ)を同定した。これらの多くは、異常時運転手順書の不備に起因するもので、その作成過程や教育訓練に関わる問題が根本原因や寄与因子として関与していることを明らかにした。さらに、既に提案されている改善策を整理して今後の検討項目を明らかにし、新たな改善策を検討した。また、分析を通して、ASSET手法の有用性を確認すると共に、不具合間関係の表現などの改良すべき点を明らかにした。